絵の用語
美術品の世界でよく使われる用語について簡単に説明いたします。
なお、( )内に転載元の書籍名を記載しました。また、(画廊)とある箇所は弊社が補足的に書き足しました。
日本画
水で溶く水絵具と膠水で溶く岩絵具とで描く絵画。中国より伝来し、古来日本でも行われてきたが、江戸末期以降、油で顔料を溶いた西洋の絵画、即ち油絵が普及するにつれ、油絵と対照して使われるようになった。ただし言葉の意味だけからすると、日本の絵という意味になる。
(「和英対照日本美術用語辞典」株式会社東京美術刊より。以下、日本美術用語辞典)
洋画
油絵を中心とした西洋伝来の絵画。明治以降に普及した。西洋画の略であるが、今では洋画が一般になっている。映画でも西洋ものを洋画といっていて、紛らわしい。
日本画に対する語で、水彩画やパステル画などをも含ませる場合が多い。
(日本美術用語辞典)
油絵(画廊註 油彩画と同義語です)
油で顔料を溶いて描く絵画。ファン・アイクに始まるとされ、ヨーロッパ絵画の中心になっている。日本には桃山時代に入ったが、明治まではほとんど普及しなかった。しかし今日では、顔料を膠水や水で溶く日本画以上に普及している。(日本美術用語辞典)
支持体は画布(キャンバス)が多く使われていて、種類的にはタブローに属します。(画廊)
タブロー
板や立札をも意味するフランス語。ふつう板絵と訳されるが、元来この言葉は、壁画のように移動不可能な絵に対して、持ち運びできる絵を意味し、この意味ではキャンバス(画布)に描かれた絵もこれに含められる。(日本美術用語辞典)
一般的には、1点ものの絵画等のことをいいます。なお1点ものであっても、最終目的となる絵画等を制作するための下書きとして描いたようなデッサン、スケッチ等はタブローの範疇には入りません。(画廊)
コラージュ
フランス語(Collage)。糊づけすること。実際には古新聞や印刷物の紙片・布・木の葉などを画面に貼ること。ダダイズムやシュールリアリズムでよく使われた。日本にも大正末期に紹介されたが、あまり大きな意義は獲得しなかった。(日本美術用語辞典)
種類的にはタブローに属します。(画廊)
水彩画
水を主体として顔料を溶かして描く絵画。水墨画もそうであるが、顔料として墨が中心になるのが異なる。18世紀から19世紀にかけて英国で普及し、日本でも明治末に雑誌「みづゑ」が創刊されるなどして普及し、今日に至った。(日本美術用語辞典)
版画
銅や木や石などの面に形態を刻み、インクや絵具を刷り込ませてのち、逆にそれを紙や布に吸い取らせることによってつくられる絵画一般の総称。使用する素材によって木版画・銅版画・石版画・リノリュームカットなどに分かれる。また合羽摺やシルクスクリーンなど孔版と呼ばれるものも、この版画に含まれる。(日本美術用語辞典)
以下にご説明する銅版画、シルクスクリーン、リトグラフ(石版画)、木版画、モノタイプはすべて版画の一種です。版画は、作品ごとに複数枚数制作します。刷り枚数は作家によって、またその時の状況によって異なります。少ないもので3枚くらいから、多いものでは数百枚(場合によってはそれ以上)のものもありますが、現代美術系の版画に限って言えば、30から50部程度が一般的です。作品ごとに作家のサインと刷り番号が入っています。 版画は価格的にも比較的廉価で、また現代建築にもよく合うため、コレクターの収集の対象となる以外に、新築の住宅やオフイスのインテリア、新築祝いの贈り物としてもよく利用されています。(画廊)
銅版画
銅版を用いる版画で、主に西洋で発達した。凹版で、銅版に直接彫刻刀で彫る方法と、薬品を用いる腐蝕銅版画とがある。前者は桃山時代に日本に伝わったが発達せず、後者は天明3年(1783)に司馬江漢(1747~1818)が製作してから普及した。中国でも清時代に作られた。
銅版画には、ドライポイント、エッチング、アクアチント、メゾチントなど様々な技法がありますが、詳しいことは専門書をご覧下さい。(画廊)
シルクスクリーン
版画の一種。孔版の一種。絹のスクリーンを蝋や漆で部分的に覆い、残りに色を塗って浸透させ、形態を表現していく方法。数種のスクリーンを使って複雑な表現を行うことができ、また安直である。1900年頃にアメリカで始まり、1930年代に広く各地に広まった。
リトグラフ
石版画の原名(英語)。略してリトともいわれている。
石版画
銅版画・木版画などと並ぶ版画の一種。18世紀末ドイツ人が発見した方法で、石板に印刷インキが付く部分と付かない部分をつくって印刷する。ドーミエやロートレックなどが盛んに用い、日本でも江戸末期から行われるようになった。
木版画
板を版木として制作される版画。凸刻を主体として複雑な表現を行うことができる。最も古くから発達した版画術で、浮世絵版画は高度に発達した多色木版画である。 ヨーロッパでも15世紀初めから行われてきた。
(以上の版画の用語説明はすべて日本美術用語辞典より転載)
モノタイプ
版画の一種。1枚しかできない摺絵のこと。ふつう描いたものの上に紙を当ててプリントしてつくる。厳密には版画といえない点もあるが、プリントの味があるという点では版画といえる。(日本美術用語辞典)
彫刻
二次元的な平面の絵画に対して、三次元的な物体を用いて表現すること。木彫や石彫のように物体を上から彫っていくのと、塑像のように下から盛り上げて立体化していくのと、二つの方法がある。浮彫もこれに入れることが出来る。(日本美術用語辞典)
木彫、石彫の他にステンレスや鉄などの金属を用いた彫刻もあります。浮彫は、うきぼりまたは、うけぼりと読み、像や文字などを浮き上がらせて彫った彫刻のことで、レリーフとも呼んでいます。(画廊)
オブジェ
物体という意味のフランス語(objet)。美術の世界ではあまりみられない物体を美術作品として提示すること。コラージュ同様ダダイズムやシュールリアリズムでよく使われた。日本にも大正末期に紹介されたが、その本格的な理解は第2次大戦後ということになる。(日本美術用語辞典)
具象
象(かたち)あるものとして現実に具体的に存在するものによって表現された美術。抽象に対する語。今世紀の初めに(画廊註 出版が1900年代のためこのような表示になっている。20世紀のこと)抽象が生まれるまでの美術は、ほとんど具象といえる。
(日本美術用語辞典)
抽象
具象の対語。自然の再現によらず、線と色と形の組み合わせによって表現された美術。1910年代にヨーロッパ各地で広がり、日本にも大正末に紹介され、昭和10年ごろには成長しかけたが、日本での本格的な展開は第2次世界大戦後となる。
(日本美術用語辞典)
抽象絵画、抽象彫刻、抽象画家などの使い方をします。(画廊)
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